昔に比べて働き方が多様化し、その中で近年注目されているのが感情労働です。従来の労働スタイルである肉体・頭脳労働とはどういった点が異なるのでしょうか。
感情労働とは、その名の通り働く上で感情が求められる働き方です。社会学者のアーリー・ラッセル・ホックシールドが提唱した肉体・頭脳労働に次ぐ新しい概念で、本人の著書の中で述べたことにより注目されました。具体的には、患者や顧客などの業務上で関わる相手に対して労働者から働きかけを行う際、労働者が感情をコントロールすることで報酬につながるといった考え方です。ここで求められる感情のコントロールとは、「抑制」「緊張」「忍耐」などです。感情労働が求められる業界としては、医療業界やサービス業などが代表的なものとして挙げられます。人との関わりが重要な仕事という意味でいえば、その他にも様々な職種が感情労働に該当するでしょう。
世の中の仕事の多くは誰かとコミュニケーションを取りながら進めていきます。その中でも感情労働が必要とされるのは、個人向けかつ多くの人と接する機会のある仕事です。
感情労働という概念が提唱されるまでは、肉体労働と頭脳労働の2つが一般的な労働スタイルでした。この2つと感情労働との違いについて、具体的に見ていきましょう。
まず、肉体労働は肉体を使って報酬を得る働き方を指します。青い作業着を着て働く人が多いことから「ブルーカラー」とも呼ばれています。工事や建築に関わる建設業、製品の組み立てや製造を行う製造業などが代表的な仕事です。加えて、農業や水産業などの第一次産業も肉体労働に該当します。肉体労働という単語だけを見ると、肉体のみを使う労働と思いがちですが、そうではありません。例えば、デスクワークでも単純作業を長時間断続的に行う場合は、肉体労働として扱われることもあります。
次に、頭脳労働です。こちらは、頭脳を使って報酬を得る働き方であり、知識や思考力、判断力、想像力などが求められます。企画や提案に関わる仕事が該当します。ブルーカラーに対して、オフィスで働く人が着ているシャツをイメージして「ホワイトカラー」と呼ばれます。また、弁護士や税理士、研究職などの専門的な知識を活用する職種も含まれます。
これまで、感情労働は頭脳労働の一種として扱われていましたが、その中でも感情のコントロールが特に重要な業務があったため、感情労働が新たな労働スタイルとして確立しました。
ストレスでうつになってしまったら、仕事を休む必要があります。労災認定が下りれば、療養補償給付か休業補償給付を受給できます。労災申請の手順を紹介するので参考にしてください。また、相談窓口を積極的に活用しましょう。
ストレスに悩んでいる人は、個人で行えるメンタルヘルス対策に取り組みましょう。ストレス解消のために、仕事のことを忘れられる時間を作ってください。完璧を目指さず、だらしない自分を受け入れることも大切です。
ストレスに潰されないために、まずは自分がストレスを受けやすい環境にいることを理解しましょう。感情労働は働きがいのある労働スタイルです。だからこそ、その裏に潜むリスクについても理解しておかなければなりません。