感情労働が求められる業界・職種はどのようなものがあるか、具体的に見ていきましょう。
感情労働は、接客サービスを提供する業界において発生します。サービス業なら小売業界、飲食業界、航空業界、ホテル業界などが挙げられるでしょう。また、医療業界、教育業界、保育業界、金融業界、広告業界なども人とのコミュニケーションが多く、感情労働が求められます。
感情労働が求められる職種は多岐に渡りますが、人と接する機会の多い職種はほとんど感情労働に含まれます。顧客満足度を重視し、労働者が感情をコントロールしてコミュニケーションを取らなければなりません。その職種に対し、「こうあるべき」といったイメージが一般的に浸透している点が、感情労働の特徴の1つです。
その代表的な職種としてまず挙げられるのが、販売や飲食などの接客業です。「こうあるべき」という振る舞いを求められる典型的な職種です。顧客に対して笑顔で接し、クレームや理不尽な要求に対しても真摯に対応する姿勢が求められます。店舗や企業のイメージを代表して顧客に接し、相手に不快感を与えないようにしなければなりません。業界内の競争率も激しく、近年はより心のこもったサービスが求められる傾向にあります。
顧客の問い合わせに応じるコールセンターも感情労働としての側面が強い職種です。特に、クレームなどを受け付ける窓口においては、顧客は電話を持った時点で製品やサービスに対して不満を感じており、労働者は顧客のネガティブな感情に対応しなければなりません。誠実な対応や真摯な姿勢を見せ、相手の話を聞き、誤解や不満を解消するといった、高度な作業が求められる職種です。
また、看護師などの医療職も感情労働が発生します。病気や怪我の治療、患者の介助など、相手に寄り添った対応が求められます。少しの判断ミスが命に関わるリスクもあるため、緊張感を持って業務に取り組まなければなりません。過酷な環境の中で業務を遂行する看護師は、精神的負担の大きい職種です。
このように、様々な業界・職種で感情労働が求められるようになっています。例えば、教師の場合は「社会的模範となる教師像」が一般化しており、常にそれに則った振る舞いが求められます。職場における上司と部下の関係も同様で、部下は上司の機嫌を損ねないように感情をコントロールしなければなりません。そのため、職場における人間関係でも感情労働が発生しているといえます。
ストレスでうつになってしまったら、仕事を休む必要があります。労災認定が下りれば、療養補償給付か休業補償給付を受給できます。労災申請の手順を紹介するので参考にしてください。また、相談窓口を積極的に活用しましょう。
ストレスに悩んでいる人は、個人で行えるメンタルヘルス対策に取り組みましょう。ストレス解消のために、仕事のことを忘れられる時間を作ってください。完璧を目指さず、だらしない自分を受け入れることも大切です。
ストレスに潰されないために、まずは自分がストレスを受けやすい環境にいることを理解しましょう。感情労働は働きがいのある労働スタイルです。だからこそ、その裏に潜むリスクについても理解しておかなければなりません。