近年日本では感情労働が増えている傾向にあります。なぜ増えているのか、その理由を具体的に見ていきましょう。
まず、感情労働を必要とするサービス業が増えたことが理由の1つです。物品ではなく行動や経験などのサービスを提供する職種は、第三次産業に含まれます。第三次産業は人口の増加と共に企業数も伸びる傾向にあり、日本においては昭和後半から現在にかけて増え続けている状況です。少子化によって医療・福祉・介護分野の需要が急激に伸び、生活必需品以外の娯楽やレジャーの市場が広がったことも要因として考えられます。利便性を重視した24時間営業のサービス形態も普及しており、あらゆる分野で感情労働が必要とされています。また、IT技術や輸送技術が進化したことで、求められるサービス量に対する必要人員も増加しました。
感情労働が増えた理由として、インターネットやSNSの普及も挙げられます。スマートフォンが登場し、SNSによってあらゆる情報を手軽に入手できる時代になりました。これにより、ネガティブな情報が瞬時に拡散するリスクが高くなったため、企業は対策を講じなければなりません。これまでなら外には広がらず一部に収まっていたクレームが、現代ではSNSを通じて一瞬で世間に拡散されてしまうのです。飲食店アルバイトの迷惑行為など、ニュースで目にする機会も多いと思います。また、広報や直接接客をするスタッフだけでなく、本来顧客と接触しない業種・職種に対しても業務時間外での行動や良識が求められるようになりました。
サービス業は競合が多いため、他社との差別化が必要です。そこで重要な指標となるのが、顧客満足度です。商品の内容を顧客の要望や好みに合わせるといった概念で、企業にプラスの結果を還元させる重要な要素として体系化されています。ビジネスに詳しい人であれば、「グッドマンの法則」や「顧客ロイヤリティ」といった用語を一度は聞いたことがあるでしょう。
しかし、顧客の心理や感覚に委ねられる評価は基準が曖昧です。イメージや接客態度などの指標を調査するためのアンケートを行ったとしても、明確に「こうすればいい」といった手掛かりを掴みにくい傾向にあります。そのため、商品そのものだけでなく、窓口のスタッフ対応やクレーム対応などの顧客満足度に関わる感情労働に比重が増している企業も少なくありません。他社との競合が激しいため、高度な感情のコントロールや過度なサービスを前提とした働き方が常態化していることが、感情労働が増えている要因の1つです。
ストレスでうつになってしまったら、仕事を休む必要があります。労災認定が下りれば、療養補償給付か休業補償給付を受給できます。労災申請の手順を紹介するので参考にしてください。また、相談窓口を積極的に活用しましょう。
ストレスに悩んでいる人は、個人で行えるメンタルヘルス対策に取り組みましょう。ストレス解消のために、仕事のことを忘れられる時間を作ってください。完璧を目指さず、だらしない自分を受け入れることも大切です。
ストレスに潰されないために、まずは自分がストレスを受けやすい環境にいることを理解しましょう。感情労働は働きがいのある労働スタイルです。だからこそ、その裏に潜むリスクについても理解しておかなければなりません。